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立体道路制度Q&A

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その他

空中権の法的な位置づけ

 
:アメリカにおける道路と建築物の立体的利用を図るための法制度等
出典:最近の欧米における道路と建築物の立体的利用を図るための法制度に関する調査研究
H17.3(財)道路空間高度化機構
1.コモン・ロー上の概念
アメリカにおけるコモン・ローでは、土地を所有する者がその上空をも所有し、また、地表から一定程度の高さ以上を分離し、それを地表の所有権とは別個の不動産として扱うことができると考えられている。さらに、土地上の空間における権利を空中権とし、その権利は、「飛行機の低空飛行等による侵害を受けぬ権利」、「建物建造によりこれを利用する権利など」、「特定の土地上の一定空間を地表部分とは独立した別個の不動産として、所有・使用・処分する権利」と定義される。ただし、連邦航空局が定めた飛行最低高度以上は、連邦政府の排他的主権が及ぶ空間となり、土地所有者の空中権はそこには及ばない(合衆国法律集第49編セクション40103)。土地上の空間またはそこにおける権利を地表部分と分割して扱う場合、土地所有者が土地を利用するにあたり、その機能を損なわない程度の上空空間が確保されなくてはならない。また、土地所有者が確保すべき地上空間およびそれに伴う空中権は、土地の用途および個々の状況に応じて設定される。
図表4-3に空中権の及よぶ範囲およびその区分について示した。
出典:合衆国法律集第49編、判例等を基に作成。
図表4-3 空中権を利用した開発
 
2.空中権の3つの形態
アメリカでは、広く空中権と呼ばれるものとして次の3つの形態がある。
 
@Air Rights(空中権)
〜その土地の空中権をその土地で実現する場合〜
・空中権は土地の上部空間を水平に区画して建築的に利用する権利
・空中権は土地所有権の構成要素の一つ(立体的・階層的区分)として把握され、我が国の土地の区分地上権または建物の区分所有権と類似している。
・アメリカでの空中権開発の最初の例は、1908年のニューヨーク・グランドセントラル駅の上空利用。事例としては、鉄道、学校等の空中権の売却・賃貸がある。
 
AZoning Lot Merger(敷地併合により移転が可能になる開発権)
〜その土地の空中権を隣接する土地で実現する場合〜
・地権者および土地の利害関係人は、合意により、1ブロック内に所在する複数の隣接画地を併合して一画地とする旨の権利宣言書を作成し、これを市又は郡の登記所に登録し、建築許可申請の際に提出すれば、ゾーニング規制上の一敷地として取り扱われ、一敷地内の複数の画地間で開発権の移転が可能になる制度である。
・Zoning Lot Mergerは、複数建築物が一敷地内に見なされることにより、容積率等も一体的に適用されることから、我が国の連担建築物設計制度と類似している。
 
BTransferable Development Rights(TDR:移転可能な開発権)
〜その土地の空中権を離れた他の土地で実現する場合〜
・TDRはゾーニング条例等に基づき、土地所有権を伴わないで、歴史的建造物等の敷地から他の敷地へ移転できる容積等の開発権。
・歴史的建造物、オープンスペース等の地域住民にとって重要な公共的利益と認められる建造物や空間を、行政が都市計画の手法を用いて保護を図るものである。
・具体的には、地方自治体がその実情に応じてゾーニング条例やTDRプログラムを作成し、詳細を規定している。
・ニューヨークでは複数地からの余剰容積を集めてプールするTDR Bankがある。
・TDRの送り地、受け地のエリアはある程度制限されている。
<TDRの承認条件>
TDRの承認条件として、通常、送り地・受け地双方に下記のような条件が出される。
◎送り地: 建物保存計画の作成
TDRの価格の5%を建物維持に充当
◎受け地: 環境インパクト調査の実施
地元の承認
道路寄付
公共施設の提供